【和泉式部 】平安時代の歌人・和泉式部の魅力とエピソード

人気の歌人・和泉式部が多様な人間性を持った魅力的なキャラクターとしてクローズアップされている。和泉式部は鮮烈な恋愛遍歴や奔放な性格で知られ、紫式部によって”浮かれ女”と評されたが、その情熱的な創作活動と卓越した和歌の手腕は当時の文壇を席巻した。大河ドラマ「光る君へ」では、和泉式部の個性的なキャラクターが注目を集めている。

和泉式部の生涯と代表的な作品

和泉式部の経歴

和泉式部は平安時代の女性歌人で、出身は大江家の一族に当たる。若くして左大臣源雅信の妻となり、後に花山天皇の弟の為尊親王、さらに敦道親王などと恋愛関係を結んだことで知られる。紫式部からは「浮かれ女」と評されるなど、自由奔放な性格が特徴的だった。その一方で、勅撰集に多数の作品が収められるなど、才能に富む歌人としても高い評価を得ている。

和泉式部の代表的な作品

和泉式部の代表作には、以下のようなものがある:

• 「声聞けば暑さぞまさる蝉の羽の薄き衣は身にきたれども」
  蝉の鳴き声を聞くと余計に暑くなるという、自身の境遇を描いた作品。
• 「あらざらむこの世のほかの思ひ出に今ひとたびの逢ふこともがな」
  この世に生きられなくなったのなら、もう一度だけ思い出の人に会いたいという、切ない思いを表した作品。

これらの作品からは、和泉式部の即興的で情熱的な歌風が特徴的に表れている。

和泉式部をめぐる逸話

和泉式部と紫式部の関係

和泉式部は、同時代の著名女流文学者である紫式部から「浮かれ女」と評されるなど、自由奔放な性格が目立った存在だった。二人の関係は必ずしも良好ではなく、紫式部は和泉式部の振る舞いを道徳的に問題視していたようである。

和泉式部と皇族との関係

和泉式部は、花山天皇の二人の弟である為尊親王と敦道親王と次々に恋愛関係を持った。紫式部日記などにはその様子が記されており、和泉式部の浪漫的な生き方が描かれている。また、和泉式部の娘は後に小式部内侍となった。

和泉式部の代作エピソード

和泉式部は、赤染衛門の息子と自身の妹との交際の際、二人が贈り合う和歌を代作していたという逸話が伝えられている。天下一の女流文学者である赤染衛門と、自由奔放な和泉式部による和歌のやり取りは、まさに「夢の恋歌バトル」と呼べるエピソードである。

和泉式部のイメージ

平安時代3大女流作家の特徴

平安時代の3大女流作家である紫式部、清少納言、和泉式部はそれぞれ特徴的な性格を持っていた。紫式部が隠遁的で恋愛ドロドロ、清少納言が陽気で恋愛に無関心、そして和泉式部は陽キャで恋愛ドロドロというように、3人は対照的な性格を有していた。

和泉式部のイメージ

和泉式部は「浮かれ女」「魔性の女」といったイメージで知られており、夫がいながら花山天皇の二人の弟を翻弄するなど、極めて自由奔放な生き方をした人物として描かれることが多い。一方で、才気あふれる即興的な歌風が特徴的だったことから、「パンクロッカーのような」存在としても捉えられている。

和泉式部の衣装

和泉式部の衣装は、当時の貴族女性としては露出が多いと見なされていた。中世温暖期の平安京の部屋着は薄手で透け感のある装いが一般的だったが、和泉式部の場合はさらに奔放な印象を与えていた。現代人で言えば、暑いからとノーブラTシャツで出勤するようなものに近いと評される。

和泉式部の文学的評価

勅撰集への多数の収録

和泉式部は、勅撰集と呼ばれる天皇の選定した歌集に多数の作品が収められている。これは、当時の文壇において和泉式部が極めて高い評価を得ていたことを示している。現代でも「レコード大賞100回連続獲得並びに松任谷由実＋中島みゆきの100万倍の売り上げ実績」と表現されるほど、和泉式部は歌人としての評価が高かった。

和泉式部の歌風

和泉式部の特徴的な歌風は、即興的で情熱的なものだった。紫式部が掛詞や古典的技巧を用いるのに対し、和泉式部はストレートに思いを表現する「正述心緒歌」が得意とされている。このような歌風は、和泉式部の自由奔放な生き方と密接に関連していると評されている。

和泉式部に対する紫式部の評価

「けしからぬ方」と紫式部は和泉式部を批判。和泉式部は恋多き女性。ということで道徳的に許せない紫式部でした。

このように、同時代の文学者である紫式部からは批判的に扱われることも多かったとされる。和泉式部の奔放な性格は、当時の規範からは逸脱しているものと見なされていたようである。